民主党政権政策/マニフェスト
2003年10月5日 民主党大会


                 「民主党政権政策/マニフェスト」  

                  目 次

     T はじめにー菅直人から国民のみなさんへ

     II 私たちがめざす信頼される政策―民主党ビジョン(D−Vision)―

     III マニフェスト−民主党は約束します。

一 失業のない、つよい経済を再生します。
  1 景気を回復させ、「仕事」と「雇用」を生み出します。
  2 「お金を貸せる銀行」をつくります。
  3 税金のつかい道を徹底的に見直し、財源を確保します。
  4 「経済再生5ヵ年プラン」と「財政再建プラン」を策定します。

二 税金のムダづかいをやめ、公正で透明性のある政治を実現します。
  1 税金のつかい道を大胆に変えます。
   (1)公共事業の無駄を止め、生活・環境重視に転換します。
   (2)道路公団を廃止し、高速道路を原則無料化します。
    2 官僚の天下りを禁止し、公務員人件費を縮減します。
   3 政治家の不正を根絶し、議員定数を削減します。
   (1)企業・団体献金を全面公開します。
   (2)一票の格差是正をめざすとともに、衆議院の議員定数を80議席削減します。

三 「自立力」をもった、活力に輝く地域を創造します。
  1 「分権革命」―地域の問題は自分たちで決められる社会を築きます。
   (1)18兆円の補助金を廃止し、地方が責任と自覚をもって使えるお金に変えす。
   (2)中央省庁の権限限定と自治確立、住民の行政参加権を明確にします。
  2 中小企業予算7倍増、政府系融資の個人保証撤廃を実現します。
  3 1兆円の農業関連補助金を改革し、無駄のない直接支援・直接支払制度をつくります。
  4 郵政改革で国民サービスの向上と、地域・中小企業への資金供給をすすめます。
  5 6割のNPOに税制でも支援します。
  6 「緑あふれる地域」 を次世代に引き継ぎます。
   (1)10年間で1000万haの森林を再生―「緑のダム」を育みます。
   (2)新エネルギー予算を倍増、低公害車普及・拡大をすすめます。

四 子どもや高齢者、女性、誰もが安心して働き、暮らせる社会をつくります。
  1 誰もが安心して働ける社会をつくります。
   (1)誰もが仕事に就き、労働が正当に評価されるルールを確立します。
   (2)パート均等待遇の実現、育児・介護休業制度の拡充をすすめます。
   (3)能力開発と月10万円の手当支給で失業・廃業からの再出発と暮らしを応援します。
  2 子どもたちを健やかに育成します。
   (1)一人ひとりに目が行き届き、親の不安が解消される教育を実現します。
   (2)幼保一元化やNPO支援で保育を拡充し、学童保育も2万カ所に増やします。
   (3)無利子奨学金の貸与額を50%引き上げます。
   (4)成人年齢を18歳に引き下げ、選挙権も18歳以上とします。
  3 「老後の安心生活」世界一をめざします。
   (1)若者からも信頼される安心の年金制度をつくります。
   (2)地域介護の拠点として、グループホームを1万カ所増設します。
  4 一人ひとりの人権が尊重される社会を実現します。
   (1)差別の解消をめざす法律を制定します。
   (2)盗聴法、住基ネット法、個人情報保護法を見直します。
   (3)テレビの字幕化を推進します。
   (4)外国籍の人も希望により住民票に記載します。

五 国民の命と健康を守るつよい社会を実現します。
  1 健やかさを保つ生活へと改善します。
   (1)早期発見・治療で安心の医療を実現します。診療報酬改定プロセスの透明化をすすめます
   (2)350ヶ所の小児救急センターを整備し、小学生卒業までの医療負担を1割に軽減します。
   (3)カルテ開示・医療費明細書発行の義務化を実現します。
   (4)「食」の安全を一元的に厳しくチェックします。
   (5)安全を最優先し、原子力行政の監視を強めます。
  2 犯罪に厳しく対処し、安全な地域を取り戻します。
   (1)警察官の3万人増員により、落ち込んだ検挙率を回復させます。
   (2)仮釈放のない「終身刑」を創設し、凶悪犯罪の罰則を強化します。
   (3)ドメスティック・バイオレンス(DV)防止法を強化します。
  3 国連中心主義で世界の平和を守ります。
   (1)自立的な外交と国連機能強化をすすめます。 
   (2)拉致事件の解決など北朝鮮問題に正面から取り組みます。
   (3)改めてイラクへの復興支援のあり方を見直します。
   (4)犯罪対策の強化など「日米地位協定」の改定に着手します。
   (5)大使等の民間登用率を2割に向上させます。
   (6)地球環境保全に向けた基本法を制定し、環境外交を展開します。
   (7)国民を守ることができる防衛力整備への転換を図ります。

T.はじめにー菅直人から国民のみなさんへ

 日本では、野党第一党が選挙で勝って政権の座につくという、他の国で日常的に起きているかたちでの政権交代を経験したことがありません。私がはじめて経験した10年前の政権交代は、当時の野党第一党(社会党)は惨敗したものの、自民党が過半数を割ったことから、野党が連立して細川政権を誕生させたものです。
その後の内閣交代も連立与党の組み替えによるもので、選挙に伴う二大政党間での政権交代ではありませんでした。
民主党が政権を担うことになれば、それは日本ではじめてのケースとなります。
 「マニフェスト」は政権を争う二大政党が、それぞれ、政権を担当したときに実行する政策を政権担当前に国民のみなさんに約束する「政権政策」です。二大政党が対抗する場合、国民のみなさんは、いずれかの政党を選ぶことで、政権を構成する与党と首相とマニフェスト(政権政策)、つまり「政権」それ自体を選択することと同じことになるのです。
 議院内閣制を採用している日本の国政では、これまで、二大政党制になっていなかったために、国民のみなさんは、「政権」それ自体を選択することはできなかったのです。
民主党と自由党は二大政党の一翼を担うため、「小異を残して大同につく」という覚悟で合併し、新しい民主党を発足させました。この絶好の機会に、国民のみなさんに私たちのマニフェストを選択していただくことを願ってやみません。
 私は、政治の目標は「最小不幸社会」の実現と考えています。国民の中には「不
幸」に遭遇している人たちがいます。そして、人々が「不幸」になる原因はさまざまです。その原因を、政治の力、つまり「政権」がとり除けるものはできるだけとり除き、「不幸」を最小化すること、それが政治の目標だと思います。
 なぜ「最大幸福」と言わないで「最小不幸」と言うかといえば、病気や貧困といった「不幸」の原因は相当程度「政権」の力でとり除くことができますが、「幸福」のかなりの部分は、恋愛や美意識といった「政権」という権力が関与すべきでない分野の問題であると考えているからです。一部の人が無理に「幸福」を押しつけようとして「政権」の力を行使すると、そこには一種の強制や独裁が生まれます。政治権力は人の生死をも左右する強制力を伴うものだけに、その行使は人々の「不幸」の原因を最小化することを目標とすべきであり、美意識のような個人的選好に属する「価値」の実現を目標とすべきではないというのが、私の政治に対する基本的哲学です。
 「最小不幸社会」というと何か弱々しいイメージを与えるかもしれません。しかし、私がみなさんにお伝えしたい考えはそういうものではありません。むしろ、多くの人々の「不幸」を最小化するためには、政治権力をつかうことを辞さない決意です。治安と防衛もそのひとつです。「最小不幸社会」の実現のためには、国民のみなさんを犯罪、侵略、テロから守ることは当然のことです。最低限の政府の責務と言えます。国民の生命と財産を守るためには、国家にとって適切な警察力と防衛力は欠かせません。
 また「最小不幸社会」というと、福祉国家的な大きな政府を連想する人もいるかもしれません。しかしそれも正確ではありません。自立した個人には、規制が緩和された自由な経済市場や社会の中でその力を存分に発揮して頂きたいと思います。しかし、個人の責任ではない原因によって困難な状況に陥った人には、政治の力で手をさしのべるべきだと考えます。そうした観点から、たとえば、天災や犯罪に巻き込まれた被害者の救済などには積極的に取り組むべきだと思います。
 今日の中小企業・零細事業者のみなさんの困難な状態や失業者の困窮は、これまでの経済政策の失敗が大きな原因です。したがって、困難と立ち向かい、新たな出発をめざして努力しているみなさんへの支援は、これからの「政権」の大きな責任だと考えています。
 また、こうした課題に対処するために、政治家自らが責任をもって政策を企画・実行・検証(Plan−Do−Check)していくことが必要です。官僚組織に政策を丸投げすることなく、官僚組織と適切な関係を構築し、「政権」が責任をもって主体的に国を運営していくべきだと考えます。
 こうした考え方にもとづいて、政権を担当させて頂いた場合には、「最小不幸社会」の実現と脱官僚政権をめざし、必ず次のことを実行します。

1.基礎年金の税方式への移行
 基礎年金と所得比例部分からなる二階建て年金制度を4年以内に確立します。
    財源については、消費税と掛け金の組み合わせで安定化させます。
2.凶悪犯罪への罰則強化と警察官の増員
 警察官を4年間で3万人以上増員するとともに、凶悪犯罪を厳罰化し、治安の回復につとめて、暴力や犯罪を許さない社会をめざします。
3.川辺川ダム・諫早干拓・吉野川可動堰計画の即時中止
 これまで税金を無駄に使っていた、自然破壊型の公共事業を改め、自然回復型の新しい公共事業への転換をすすめます。
4.高速道路の無料化と道路公団の廃止
 地域経済活性化と流通コストの削減をはかるため、大都市以外の高速道路は3年以内に無料とし、道路公団は廃止します。
5.国会議員数1割以上、公務員人件費の1割以上を4年間で削減国会議員数及び公務員人件費を削減するとともに、高級官僚の天下り禁止、政治資
金の全面公開、勾留中の議員報酬の凍結を実現します。
6.30人学級制と学校5日制の見直し子ども一人ひとりに行き届いた教育ができるよう少人数教育の確立、特に、4年以内に小学校低学年30人学級の実現や、学校5日制の見直しで学力回復をめざします。
7.補助金18兆円を地方の自主的な財源に
 無駄の多い、国から自治体へのひも付き補助金を4年以内に廃止し、地域が自主的に使える財源を飛躍的に増やします。

 2003年秋
 民主党代表 菅直人

II.私たちがめざす信頼される政策―民主党ビジョン(D−Vision)―

 私たちは国民のみなさんにお約束します。

  1.失業のない、つよい経済を再生します。
  2.税金の無駄遣いをやめ、公正で透明性のある政治を実現します。
  3.「自立力」をもった、活力に輝く地域を創造します。
  4.子どもや高齢者、女性が安心して暮らせる社会をつくります。
  5.国民の命と健康を守るつよい社会を実現します。

経済政策
 私たちは、景気を回復させ、「仕事」と「雇用」を生み出すような経済政策に転換します。そのためにも、税金のつかい道を徹底的に見直し、正しい経済政策を行うための財源確保が必要です。
 勇気をもってムダな公共事業をやめることで、財源確保は可能です。
 そのうえで、国民のみなさんからお預かりしている税金のつかい道を、生活・環境重視に転換するのです。その象徴的な目標が、道路公団を廃止し、高速道路を原則無料化することです。欧米では高速道路は無料です。それが普通です。日本という国は、どうしてよその国でできることができないのでしょうか。「当たり前のこと」ができない国、日本。その原因が税金のムダづかいの構造です。私たちはその構造を改革し、税金のつかい道を大胆に変えます。
 それこそが構造改革です。
 そして、掛け声だけではない「経済再生5ヵ年プラン」と「財政再建プラン」を策定し、日本経済を復活させます。

地方分権
 税金のつかい道を大胆に変えるための手段のひとつが、地方分権をすすめることです。地域の問題は自分たちで決められる社会をきづく、この「当たり前のこと」を私たちは実現します。
 でも、この「当たり前のこと」を行うことが日本では相当むずかしいことなのです。だから私たちはこれを「分権革命」と呼びます。
 「当たり前のこと」ができない原因は、中央が地方を支配する構造です。中央では利権政治家、背徳的官僚、結託業者がウヨウヨしています。その象徴が補助金制度です。
 もともとは国民のみなさんからお預かりした税金を、まるで自分たちのお金のような顔をして官僚が地方に分配する補助金制度、これが諸悪の根元です。
 私たちは18兆円の補助金を廃止し、地方が責任と自覚をもってつかえるお金に変えます。また、中央省庁の権限を限定し、自治の確立と住民の行政参加をすすめます。

政界、官界の大改革
 補助金を含む予算の権限をつかって、利権政治家や悪徳官僚は自分たちの利益を追求しています。真面目で正義感に富んだ官僚もたくさんいますが、残念ながらそうでない官僚もたくさんいます。
 私たちは、私利私欲をうみだすきっかけになっている官僚の天下りを禁止し、ムダの少ない政府をつくるために、公務員の総人件費も縮減します。
 利権政治家と背徳的官僚は、不正に利得を得ようとしている不公正な業者と結託しています。こうした関係を明らかにし、政治家の不正を根絶するために、企業・団体献金を全面公開します。
 官僚制度のムダを見直すとともに、当然、私たちも議員定数を削減します。当面は衆議院の比例議員定数を80議席減らすことが目標です。
 また、政権交代というよその国では「当たり前のこと」が起きない原因である一票の格差是正をめざします。一票の格差がなければ、日本でもとっくの昔に政権交代は起きているのです。

NPO
 政界、官界の大改革をすすめる一環として、私たちは多くの国民が公共的な政策や自治体の運営に参画できるような対応をすすめます。
 政策課題がどんどん複雑かつ高度になり、変化のスピードも速くなっています。行政組織の中にずっといる官僚や役人だけでは、世の中の実情やニーズについていけなくなっていす。そのことが、国民のみなさんのニーズに対応できない、場合によってはニーズとかけ離れた行政を行うことにつながっています。
 これからの日本は、民間企業や行政組織の中で専門知識を身につけた人たちに加え、NPOで非営利活動に従事しているみなさんの力もお借りして、多くの国民の知識と技術を国や地域の運営に活かすべきです。
 そのためにも、私たちはNPOがより大きく育つように、NPOの6割に税制優遇が可能となるようなNPO税制の仕組みをつくります。

中小企業・金融
 国の基本は民間経済です。そして、民間経済のいのち綱は金融です。
 金融は人間のからだにたとえると血液です。血液が流れなければ健康を害します。
血管の役割を果たすのが銀行ですが、今その血管が本来の働きをしていないことが日本経済の大きな問題になっています。
 金融機能が衰えているために、日本経済の屋台骨である中小企業のみなさんがたいへん苦しんでいます。私たちは血液をからだ中に十分に循環させることのできる「お金を貸せる銀行」をつくります。
 また、かけ声だけの中小企業対策を見直し、中小企業・商店街予算の7倍増、政府系融資の個人保証撤廃を実現します。現在のように、国の予算の0.1%程度の対策でどうして中小企業対策に力を入れていると言えるのでしょうか。

農業
 農業は国の基本です。「食料安全保障」という言葉があるように、国民の生活と生命を守るためにも食料政策はたいへん重要な分野です。
 この分野には、これまでも毎年1兆円以上の財源が投入されています。しかし、農家や農業関係の仕事をしているみなさんからは、日本の食料政策がうまくいっているという声は聞こえてきません。なぜでしょうか。
 それは、食料政策という名目でつかわれている予算の大半が、実は、農産物を生産し易くする、あるいは農家のみなさんの生産意欲を高めるようなことにつかわれるのではなく、「農業土木予算」などとしてムダづかいされているのです。
 必要のない農業空港をつくったり、減反を強制する一方で新たな農地造成をすすめたり、つまり、建設土木事業のための予算になっているのです。これでは農業政策、食料政策が不十分になるのは当然です。
 私たちは「農業土木予算」として支出されている農業関連補助金を削減し、ムダのない直接支援、直接支払制度をつくります。農家のみなさんの切実なご要望に真面目にお応えします。
 また、食料政策は最終的には消費者のみなさんに安全な食料を提供することが目的です。私たちは、「食」の安全をきびしくチェックする政策をすすめます。

環境
 日本の人口はまもなくピークを迎え、いよいよ本格的な少子高齢時代にはいります。人口が減るのですから、人間が住み、利用する土地や空間は今までほど必要はなくなるはずです。
 にもかかわらず、上述のように「農業土木予算」をつかって山や森が切り開かれ、美しい川が破壊され続けています。もうそんなことは終わりにしたいと思います。
 私たちは「緑あふれる地域」を次世代に引き継ぐために、10年間で1000万haの森林を再生します。森林は高い保水能力をもっていますので、利水・治水対策と称してコンクリートのダムを造る代わりになります。つまり、「緑のダム」となって、自然と私たち人間を育むのです。
 「緑のダム」以外でも、私たちは、環境に優しく、自然を復元させる政策をすすめます。風力、太陽、波力などのクリーンな新エネルギーのための予算を倍増させ、低公害車の普及、拡大に努めます。
 また、過渡的エネルギーとしての原子力については、安全を最優先し原子力行政の厳格な監視をすすめます。

働く人たちを守る
 経済、産業、環境などに関係するさまざまな政策は、いずれも国民の皆さんが豊かで安全な生活を送れるようにするためのものです。そして、生活の基盤は国民のみなさんが働くことによって支えられています。
 誰もが安心して働ける社会の実現、それが私たちの目標です。私たちは、誰もが仕事につき、労働が正当に評価されるルールを確立します。パートで働くみなさんの待遇の改善、育児・介護休業制度の拡充もすすめます。
 また、不幸にして失業・廃業を余儀なくされたみなさんに直接役に立つよう、能力開発訓練の充実と月10万円の手当支給、医療保険料軽減を実現させ、失業・廃業から再出発しようとする人たちを支援し、暮らしの安定を応援します。

子どもたちを守る
 どこの国でも、その国の将来は子どもたちが担っています。私たちは、子どもたちを健やかに育成する政策をすすめます。そのためにも、一人ひとりに目が行き届き、親の不安が解消される教育を実現します。
 地域の実情に応じた幼保一元化やNPO支援で保育体制を拡充し、学童保育も2万カ所に増やします。
 また、学ぶ意欲のある子どもたちを支援するために、無利子奨学金の貸与額を引き上げます。
 国の借金は将来の納税者、つまり子どもたちに重くのしかかっています。国の運営について、将来世代にも意思表示の機会を保障することは大切なことです。私たちは選挙権年齢を18歳に引き下げます。
 選挙権をもつということは、社会の一員として自分の言動に責任をもつということです。選挙権を持つと同時に成人年齢も18歳に引き下げ、少年たちの自覚の向上にも期待したいと思います。

お年寄りを守る
 現役を引退した高齢者の皆さんにも老後を安心してすごして頂けるような国づくりをめざします。「老後の安心生活、世界一」を実現するために、地域介護の拠点としてグループホームの1万カ所増設が目標です。
 子どもたち、若者たちも、いずれは歳をとります。現役世代、将来世代からも信頼
される安心の年金制度をつくります。

医療
 世代に関係なく、健康な生活を送るためには適切な医療政策が欠かせません。
 まずは、病気になることを予防することが大切です。健やかさを保つ生活環境づくりに努め、早期発見、早期治療を実現する予防医療を充実させます。
 現在の医療政策が国民のニーズを満たしていないことは、子どもたちを守る小児医療があまりにも不十分であることが象徴しています。私たちは、350カ所の小児救急センターを整備し、小学生卒業までの医療費負担を1割に軽減します。
 また、患者と医師の信頼・協力関係を増進させるため、カルテ開示・医療費明細書発行の義務化を実現します。
 同時に、現在の医療政策の根幹である診療報酬制度は、医療の現場で頑張っている医師のみなさんにとってきわめて不透明な内容になっています。私たちは診療報酬改定プロセスの徹底的な透明化をすすめ、医療政策の歪みの構造を是正します。

人権、治安
 安心できる社会の実現は、国民一人ひとりの人権と安全が保障されることが大前提です。
 私たちは、そうした視点に立って人権が尊重される社会をつくります。差別の解消をめざす法律を制定し、盗聴法、住基ネット法、個人情報保護法など、国家権力による人権侵害のおそれのある現在の法制を見直します。
 また、社会的に弱い立場にある人たちを守ることにも力を注ぎます。テレビの字幕化を推進し、外国籍の人も希望により住民票に記載されるようにします。個人の人権が守られる共存共栄の社会、それが私たちのめざす日本です。
 さらに、犯罪にはきびしく対処し、安全な地域をとり戻します。警察官の3万人増員で犯罪検挙率を高めるとともに、仮釈放のない「終身刑」を創設し、凶悪犯罪の罰則を強化します。ドメスティック・バイオレンス(DV)防止法も強化します。
 私たちは、被害者を出さない社会、被害者を守る社会を実現するために、全力をつくします。

安全保障・外交
 国民の皆さんの生命と財産の安全を守るためには、安全保障や外交政策の強化に力を注ぎます。
 信頼できる外交、国民を守る安全保障体制を築くために、自立的な外交と国連機能の強化にとりくみ、防衛力整備も怠りなくすすめます。
 拉致事件の解決に全力をあげ、犯罪対策の強化など「日米地位協定」の改定問題に真正面からとりくみます。
 戦闘が続くイラクへの自衛隊派遣は行わず、イラク特措法は廃止を含め見直しを図ります。被災したイラク国民に対して、医療・教育・経済分野等の人道・復興支援について積極的に取り組みます。イラク国民による政府が樹立され、その要請に基づき安保理決議がされた場合には、わが国の主体的判断にもとづいて憲法の範囲内で、自衛隊の活用も含めた支援に取り組みます。
 さらに、外交を国民の皆さんの手にとり戻すために、外務省改革に力を注ぐとともに、大使等の民間登用率を2割に向上させます。外交官適任者を広く国民各層から募ります。
 地球環境保全に向けた基本条約の制定など、環境外交を積極的に展開し、世界から一目おかれる「環境大国」日本をめざします。

憲法
 「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」という憲法の3つの基本理念を踏まえ、時代に即した憲法論議を積極的にすすめます。
 憲法を「不磨の大典」とすることなく、またその時々に都合のよい憲法解釈を編み出すのではなく、憲法が国民と国の基本的規範であることをしっかりと踏まえ、国民的な憲法論議を起こし、国民合意のもとで「論憲」から「創憲」へと発展させます。

III マニフェスト−民主党は約束します。

 民主党政権は、菅直人総理が強い意志をもって掲げる約束、そして、「民主党政権政策」の実現を国民のみなさんに約束します。
 この約束は、民主党政権第一期の期間が終了するときに、その達成度が明確に示され、国民のみなさんが公約の達成状況を評価、査定できるものです。
 マニフェストは第一期政権4年間の最低公約であり、「つよい日本」、「経済の再生」の突破口です。中には、与党だけで決めてはいけないものもあります。民主党政権は責任ある提案を行い、国会の議論を活性化させ、与野党の活発な議論の中から合意を導き出したいと考えています。
 民主党は、有権者から負託された政権において、全議員が一致して、約束を誠実に実行します。

一 失業のない、つよい経済を再生します。

 小泉内閣の経済無策による深刻なデフレ不況によって、国民の仕事や資産が日々奪われている状況を、これ以上放置することはできません。「つよい経済」の再生は、国民一人ひとりが安心して暮らすための最低条件であり、他のあらゆる施策を実現するための前提条件です。
 民主党は、最優先の課題として、「つよい経済」の再生に取り組み、景気の回復と雇用の安定に全力をあげます。

1 景気を回復させ、「仕事」と「雇用」を生み出します。
 強い経済を再生させて景気回復・雇用拡大を実現するためには、民間需要を掘り起こし、内需を拡大することが必要です。現在および将来に対する不安の解消と、眠っている需要に対応した新しい仕事・産業の掘り起こしによって、経済再生への着実な一歩を踏み出します。
(i)失業率を4%台前半以下に引き下げます。
 現在5%台半ばの失業率を、任期中に4%台前半以下に引き下げることをめざし、中小企業対策や分権による地域経済対策、「緑のダム」をはじめ公共事業の転換、福祉・環境部門の産業育成、良質な住環境の整備、NPO育成等、公的部門を含めた積極的雇用創出などによって、新たな就業機会を拡大し、雇用を増やします。また、民間の創意工夫を生かした職業再教育の充実を図ります。
(ii)高齢者の暮らし、子育てなどの不安解消で、需要と消費を掘り起こします。
 年金・介護や子育て・教育、医療など現在と将来の不安解消を図ることで、消費を喚起します。特に、高齢者が暮らしやすい社会を創るための産業や、子育てのしやすい社会を創造するための産業を育成することで、「安心」を醸成しつつ、あらたな「仕事」をつくります。
(iii)ローン利子控除制度創設など、生活重視の経済に転換します。
 緊急対策として、住宅や自動車に関するローン利子控除制度を平成16年度に創設することをはじめ、高速道路無料化による物流コスト軽減、余暇時間を有効活用できるための基盤整備、環境保全型産業の育成などを通じて、眠っている需要を目覚めさせ、生活重視の経済、「経済のソフト化」をすすめます。
(iv)事業規制原則撤廃をすすめ、企業努力と起業意欲を増進させます。
 民間の活力と創造力を引き出し、新た需要を掘り起こすために、民間事業活動に関する規制の撤廃、公正競争の環境確保などをすすめます。そのため、事業規制原則撤廃の基本方針などを定めた法律案を平成17年中に国会提出し、その成立をめざします。
(v)競争力強化・技術力強化に向けて、知的財産権立国づくりをすすめます。
 国際的競争力の強化、科学技術振興をはかる戦略に立って、知的財産権強化に取り組みます。「知的財産基本法」をさらに具体化し、知的財産紛争処理能力の強化、知的財産権に関する専門家の育成、地域をはじめとする産学の連携強化、研究開発予算の配分見直し、研究者の意欲向上につながる環境の改善、TLO(技術移転機関)の充実、模倣品問題や特許権侵害対策の強化をすすめます。

2 「お金を貸せる銀行」をつくります。
 政権獲得後速やかに民主党「金融再生ファイナルプラン」の実施に着手し、2年以内をめどに信用創造と金融仲介機能を回復させます。
(i)中小企業金融(自営業者を含め、個人の信用に基づき受けている融資)を、大企業向けの貸付と明確に区別して取り扱います。担保に偏らずキャッシュフローに重点をおいた中小企業向け金融検査マニュアルを、大企業向けとは別につくり、貸し渋り、貸しはがしを解消させます。また、政府系金融機関融資における個人保証を5年間で撤廃します。
(ii)金融機関の地域への寄与度や中小企業に対する融資条件などについて情報公開させる「地域金融円滑化法案」を、平成16年度中に国会提出します。
(iii)大企業に対する貸付については、厳格な金融検査を通じて不良債権の実態を明らかにします。バブル経済に対する大企業・銀行経営者及び行政の責任を明らかにしつつ、必要があれば公的資金を大胆に投入して、銀行の貸し出し余力を回復させます。

3 税金のつかい道を徹底的に見直し、財源を確保します。
 デフレ不況の下では、税収増加も歳出全体の大幅な縮小も著しく困難です。民主党は、政権獲得後経済の安定成長が実現できるまで、現在の財政規模を原則として維持します。
 財政の健全化をすすめるためにも、経済再生が最優先の課題です。しかし、現状において効果を度外視した財政の放漫運営を行うことは、将来世代に過大な負担を押し付けるだけでなく、将来不安の拡大や長期金利の急騰を招くなど財政に対する不信を増大させ、結果として経済再生を妨げることになります。
 税金に巣食う「お化け」を徹底的に退治し、当面、予算の使いみちを大胆に転換することで、財政規律を維持しながら、経済再生をすすめます。
 平成16年度には、国直轄公共事業の1割削減で3000億円、補助金の一部一括化に伴う事務経費削減等で2000億円、特殊法人等向け支出の1割4000億円など、約14000億円程度を捻出し、政権公約実現の財源とします。
 平成17年度は、国の直轄公共事業の2割削減で6000億円、補助金の一括交付化の範囲拡大に伴う一括化対象補助金の5%削減で7000億円、特殊法人等むけの支出の2割削減で8000億円などにより、約2兆5000億円程度を捻出し、政権公約実現の財源とします。

4 「経済再生5ヵ年プラン」と「財政再建プラン」を策定します。
 政権獲得後、ただちに緊急対策を講じると同時に、経済再生に向けたより総合的な対策のための準備をすすめます。まず各省庁が国民に隠している経済・金融・財政の最も肝心な部分の情報を新政権として把握し、情報公開します。その上で、こうした経済・金融・財政の膿と無駄の一掃と、民間需要を中心とした強い経済を創ることを内容とする「経済再生5カ年プラン」を、平成16年度中に作成します。
 経済再生を軌道に乗せつつ、後世代に過大なツケを残さず、持続可能な財政を創るために、平成17年夏(平成18年度予算編成開始)までに、10年〜15年をめどとして実質的な借金増をストップさせることをめざした「財政再建プラン」を策定します。

二 税金のムダづかいをやめ、公正で透明性のある政治を実現します。

 日本を弱めているのは、税金を無駄遣いしている「お化け」のような癒着の構造です。政治家や官僚の利権、そして政官業癒着を徹底して排除します。少しの税金も無駄にせず、権力や癒着に隠れた不正を根絶し、生活の目線から政治と行政の抜本改革をすすめます。

1 税金のつかい道を大胆に変えます。
(1)公共事業の無駄を止め、生活・環境重視に転換します。
 国直轄の大型事業を、平成18年度予算案までに、3割、9000億円を目標に削減します。平成16年度予算から、無駄遣いの象徴である川辺川ダム事業(熊本県・総事業費2650億円)や吉野川可動堰計画(徳島県・総事業費1040億円)など、大規模な直轄公共事業の建設や計画をストップし、真に地域振興となる事業に振替ます。
 さらに、徳山ダム(岐阜県)をはじめ他の個別事業についても精査し、凍結、中止、見直し等に分類して、できるものからただちに着手します。
 工事が相当すすんでいる諫早干拓事業(2490億円中2250億円が執行済)、工事が終了した長良川河口堰などについても、住民・自治体の意見を聞きながら今後のあり方を見直します。
 事業量を減らすのではなく、電子入札の導入促進などを含めた入札改革で談合を防止し、より少ない経費で、より多くの事業を可能にします。
(2)道路公団を廃止し、高速道路を原則無料化します。
 地域でも高速道路を使いやすくし、物流コストの引き下げ、生活の利便向上をめざしてフリーウェイとするとともに、さまざまな「族お化け」がはびこっている道路を「つくる、利用する、管理する」それぞれの面において、地域と国民の手に取り戻します。
(i)道路公団廃止と高速道路原則無料化
 多額の投資をしながら有効活用されていない高速道路を生かすことでで、地方を活性化するとともに、流通コストの削減を図るために、高速道路は、3年以内に、一部大都市を除き無料とします。日本道路公団・本州四国連絡橋公団は廃止します。無料化によってコストが削減するだけでなく、出入り口を大幅に増設できることから、地方の高速道路が暮らしに生かせる道路としてよみがえります。
 高速道路に係る債務返済と道路の維持管理には、年間2兆円が必要ですが、現在、国と地方を合わせて9兆円に達している道路予算の一部振り替えと、渋滞・環境対策の観点から例外的に徴収する大都市部の通行料でまかないます。
(ii)道路特定財源廃止・自動車関係諸税軽減・環境税創設
 自動車にかかる税金が、道路建設を優先するために高く設定されてきたことを踏まえて、道路特定財源を一般財源化するとともに、税金を大幅に引き下げます。平成17年度中に、道路特定財源の廃止法案と、自動車重量税半減・自動車取得税廃止の税制改革法案を国会提出して、その成立をめざします。
 同時に、将来の世代に良好な地球環境を引き継ぎ、また京都議定書の議長国としての国際的責任を果たすため、わが国産業競争力の維持に配慮した措置を講じつつ、実効ある温暖化対策として二酸化炭素の発生源に、環境負荷の程度に応じて炭素含有量1トンあたり3000円程度の税金をかける「環境税」を創設します。

2 官僚の天下りを禁止し、公務員人件費を縮減します。
 官僚の天下りを禁止します。民間企業への再就職しか対象になっていない規制を、平成17年度中をめどに、特殊法人などの政府関係法人等にまで拡大します。
 また、政権任期中に、国際労働機関(ILO)勧告にもとづいて、一般の公務員に労働基本権を保障する一方、人事院機能の見直しや公正な人事評価システムの確立などをすすめ、国民に開かれた公務員制度とします。同時に、局長以上のポストの民間等からの登用など政治のリーダーシップ確立と政策責任の明確化を実現します。
 分権の推進や中央省庁の機能・役割の見直しにより、国家公務員の省庁間異動や定数削減、高級官僚の手当等の見直しなどを順次すすめ、4年以内に、国家公務員人件費総額を1割以上縮減する効率的な政府に改革し、さらに分権の推進等により効率化と縮減を図ります。

3 政治家の不正を根絶し、議員定数を削減します。
(1)企業・団体献金を全面公開します。
 「口利き政治」「利権政治」の根絶をめざし、政治腐敗防止法案を平成16年の国会に提出し、その成立を図ります。
(i)政治家の「あっせん利得処罰法」の処罰対象を、議員等の親族や首長の秘書にまで拡大します。
(ii)公共事業受注企業からの政治献金を全面禁止します。
(iii)企業・団体献金の公開基準を、現行の年間5万円を超えるものの公開から、全面公開へ広げていくとともに、収支報告等をインターネット上でも公開することを義務付けます。
(2)一票の格差是正をめざすとともに、衆議院の議員定数を80議席削減します。
勾留中の国会議員について、歳費等の支払いを凍結し、有罪判決が確定した場合にはこれを支払わないことを内容とする国会法の改正案を提出し、成立を期します。
衆議院小選挙区の一票の格差是正をめざすとともに、衆議院比例議席定数を80議席削減する法案を国会に提出します。平成16年中に法案を提出した上で、与党として各党会派に呼びかけ、国民監視のもとでの議論による合意を図り、実施に移します。

三 「自立力」をもった活力に輝く地域を創造します。

 地域が自立性をもつことで、住民一人ひとりの活力から「つよい地域」が生まれます。民主党は、自治と地域の経済力を培い、道州制も展望した「分権革命」を推進します。

1 「分権革命」−地域の問題は自分たちで決める社会を築きます。
(1)国の補助金18兆円を廃止し、地方が責任と自覚をもって使えるお金に変えます。
 つかい道が不必要に制限されている総額約20兆円におよぶ国の補助金のうち、約18兆円分を廃止し、地方自治体ごとの責任と自覚によって使途を決められる「一括交付金」にします。
 廃止する約18兆円の補助金のうち、約5.5兆円分を所得税から地方住民税に税源移譲し、約12兆円を一括交付金とする案を軸に、全国の改革派知事・市町村長とも協力して、税財源移譲をすすめます。
 政権獲得後、予算措置でできる部分から個別補助金の廃止=一括交付金化を開始します。さらに、平成17年夏までに関係法律の改正をすすめ、平成18年度には、補助金の廃止を約18兆円にまで拡大します。
 なお、国から地方への財源移譲に当たっては、住民による行政に対する評価や監視態勢の整備を行うとともに、国が率先して実施する入札改革などの談合防止策や、行財政改革による行政経費の節減を、地方自治体にも求めていきます。
(2)中央省庁の権限限定と自治確立、住民の行政参加権限を明確にします。
 任期中に、中央省庁の権限を限定して、地方自治体との間の権限配分を明確にすることなどを内容とする地方自治確立に関する法律案、また、施策の決定に住民が参加し意思を反映するために最も重要な「情報公開」「住民の直接参加」を強化するための「住民自治推進基本法案(仮称)」や「住民投票法案」を国会提出し、その成立をめざします。

2 中小企業予算7倍増、政府系融資の個人保証撤廃を実現します。
 地場産業と商店街に元気を取り戻すため、中小企業むけの助成や商店街の活性化のための予算(平成15年度予算で約900億円)を7倍増にする年次計画をつくり、まず平成16年度予算では倍増させます。エンジェル税制の改善などにより、事業立ち上げ時に資金が円滑に集まる仕組みを構築し、起業の促進も図ります。
 また、金融再生ファイナルプランに加えて、個人保証を余儀なくされている中小企業金融の誤った常識を転換させるため、政府系金融機関(国民公庫、中小公庫、商工中金)が行う貸付は、5年間で原則として個人保証をなくします。

3 1兆円の農業関連予算を改革し、無駄のない直接支援・直接支払制度をつくります。
 食料の安定と食の安全確保のため食料自給率の向上を図るとともに、緑豊かな国土の保全など、農業の多面的な機能を再評価し、国民的合意にもとづく「環境と食の業」としての農業の確立をめざして、食料の安定生産・安定供給を担う農業経営体を
対象に、平成18年度スタートをめざして直接支援・直接支払制度を導入します。
 不透明な部分が極めて多い農林土木公共事業の削減、複雑な生産奨励などの個別補助金の洗い直しを行い、その関連予算約1兆円の中から新しい制度の財源を捻出します。

4 郵政改革で国民サービスの向上と、地域・中小企業への資金供給をすすめます。
 本年4月に郵政公社が発足しましたが、郵便事業の実質的独占、郵貯資金等の特殊法人による無駄遣いなどの弊害は除去されていません。「民営化」の掛け声や見せかけの改革ではなく、現実に国民生活の向上・地域経済の活性化に資する郵政改革をすすめます。
 民主党は、現在の郵便ポスト10万カ所設置などの高すぎる郵便事業への参入要件や、経営に対する過剰な行政の関与を排除し、2年以内に、ユニバーサルサービス(全国どこでも一律料金で配達)を前提として、民間企業の参入を大胆にすすめます。
 また生活者の観点から、例えば郵便局でパスポートが取れるようするなど、郵便局ネットワークを行政のワンストップサービスの拠点として活用します。
 最終的な経営形態を考えるには、その前に膨大な郵貯・簡保資金をどうするかを決めることが先決です。まず、金融情勢を見定めつつ、郵便貯金の預入限度額及び簡易保険の加入限度額の段階的な引き下げをはじめます。
 さらに、郵貯・簡保資金を地域、中小企業に役立たせるシステムを市場機能を活用して構築することを検討します。

5 6割のNPOに税制でも支援します。
 特定非営利活動法人(NPO)を、地域のサービス等の供給の担い手、雇用の受け皿として育成・支援します。
 任期中に、全国1万2000余のNPOのうち、僅か15法人(2003年8月現在)しか認定されてない税制優遇の認定要件を、その6割が認定を受けられるように大幅に緩和します。また、少額寄付をしやすくするため、個人がNPO法人に行う寄付の所得税控除を1万円以下の寄付でも認めます。

6 「緑あふれる地域」を次世代に引き継ぎます。
(1)10年間で1000万haの森林を再生―「緑のダム」を育みます。
 森林に本来の保水力を取り戻すことによる水害防止効果や、森林による二酸化炭素を固定し地球温暖化を防ぐ効果に着目し、環境破壊型公共事業から、環境・緑を守る持続可能な公共事業(=緑のダム事業)へと転換し、10万人の雇用増につなげます。
 間伐などの森林整備を公共事業化することにより、10年間で1000万haの森林を再生することをめざし、政権獲得後ただちに年次計画を策定して、初年度に約1000億円、4年後には2500億円の予算を国直轄の公共事業の振替で捻出します。また、この計画に付随て、美しい河川をとりもどし、人々の憩いの場、多くの生物が生息する場とするために河川の自然再生事業を積極的にすすめます。
(2)新エネルギー予算を倍増、低公害車普及・拡大をすすめます。
 風力、太陽、バイオマス、波力・海洋エネルギー等の再生可能エネルギーや、燃料電池等を中心とした未来型エネルギーの開発普及のため、新エネルギー関連の予算を計画的に増額し、現行の年間1500億円から政権任期中に3000億円へと倍増させます。
 また、電気自動車、燃料電池自動車をはじめとした環境にやさしい乗物に対する助成を強化します。すでに普及しつつある電気自動車に対する集中的助成、今後本格的実用化が見込まれる燃料電池車への支援を中心にして、低公害車の普及・拡大をすすめます。必要な予算は、エネルギー関係予算全体の中での振替および環境対策予算などを充てます。

四 子どもや高齢者、女性、誰もが安心して働き、暮らせる社会をつくります。

 子どもたちを健やかに育み、確かな営みが築かれ、人生を通じて人が優先、尊重される社会こそが、本当につよい社会です。一人ひとりがしなやかでたくましく生きられるための基盤整備をすすめます。

1 誰もが安心して働ける社会をつくります。
(1)誰もが仕事に就き、労働が正当に評価されるルールを確立します。
 現在5%台半ばの失業率を4%台前半以下に引き下げることをめざし、就業機会の拡大を図るとともに、ワークシェアリングや男女共同参画の推進、不払い残業の解消などに取り組み、失業の新規発生を食い止め、就労者を増やします。
 経済の変化に即した労働者の権利擁護、さまざまな面での官民格差の是正、国際的ルールの確立などを推進します。
(2)パート均等待遇の実現、育児・介護休業制度の拡充をすすめます。
 平成16年度中に、正社員とパート社員などとの間の合理的な理由のない格差を是正し、均等な待遇を実現するパート労働法改正案を国会提出し、短時間労働であることを理由として、賃金その他の労働条件について正規社員等と差別することを禁止します。
 また、実質的に1年以上の雇用契約を結んでいる有期雇用労働者であれば、育児・介護休業がとれるようにします。育児・介護休業制度全体についても、子どもが生まれてから小学校に入学するまでの間、月単位で2回まで分割して取得できるようにするなどの改善をすすめます。
(3)能力開発と月10万円の手当支給で、失業・廃業からの再出発と暮らしを応援します。
 雇用保険会計の安定を図るとともに、失業給付期間が終わっても就職できない人や、自営業を廃業した人などを対象として、能力開発訓練を拡充し、最大2年間、月額10万円の手当を支給する法案を国会提出するとともに、平成16年度途中から適用できるよう予算を用意します(平年度約2500億円を見込みます)。
 また、倒産やリストラで失業した人が安心して医療を受けられるよう、医療保険料を1年間軽減します。この措置に必要な国費は年間25億円です。

2 子どもたちを健やかに育成します。
(1)一人ひとりに目が行き届き、親の不安が解消される教育を実現します。
 一人ひとりの子どもにきめ細かく目が行き届くようにするため、民主党政権4年間において、少なくとも小学校3年生以下のクラスについて、すべて30人以下とします。平成16年度から毎年約800億円ずつ予算を増額し、同時に、必要教員数については配置実態などの精査をすすめるとともに、必要な法律改正もすすめます。
 学校内・地域での犯罪・災害から子ども達を守る対策をすすめるとともに、「学校五日制」や学力低下問題などに関する親の不安解消、学習指導内容を含む自治体の教育権限の充実、保護者や地域住民の学校運営への参画の推進、学校評価制度等の導入促進などについて、平成17年度中に「教育改革基本計画」を策定し、平成18年度から「平成の教育改革」を順次、実施に移します。
(2)幼保一元化やNPO支援で保育を拡充し、学童保育も2万箇所に増やします。
 約3万人といわれる保育所入所を待つ待機児童の解消をめざし、厚生労働省=保育所と文部科学省=幼稚園という縦割りによる分離を是正し、幼稚園と保育園の「幼保一元化」を推進します。また、NPOなどが行っている駅前保育・保育ママなど地域の多様な資源の積極活用を含め、平成16年度から待機児童解消に向けた具体策を実行に移します。
 現在、約1万3000箇所で行われている学童保育を4年間で2万カ所に増やし、指導員も4万人から6万人へと増員します。さらに、父母の就業実態に併せた保育時間の延長などを含め、待機児解消に向けて、少なくとも初年度約300億円の予算を確保します。
(3)無利子奨学金の貸与額を50%引き上げます。
 長期の不況によって親の経済状況が悪化し、途中退学を余儀なくされる高校生、専門学校生、大学生が増えていることを踏まえ、緊急措置として、平成16年度から3年間、無利子奨学金の貸与額を、例えば自宅外私大生で現行6万3000円を9万4500円にするなど、希望者について50%引き上げます。また、就学継続が困難な生徒に対する授業料の減免措置を行う高校への財政支援を拡充します。
 この政策を実施するために必要な予算は、約600億円程度となりますが、文部科学部門の予算の精査及び政府予算全体の冗費削減で捻出します。
(4)成人年齢を18歳に引き下げ、選挙権も18歳以上とします。
 若い世代に、社会の一員としての責任感を醸成し、積極的な社会参加を保障するため、成人年齢を18歳とし、選挙権年齢も18歳から付与します。次の総選挙から選挙権を付与できるよう法改正案を国会提出し、その成立をめざします。

3 「老後の安心生活」世界一をめざします。
(1)若者からも信頼される安心の年金制度をつくります。
 現行の年金法では、平成16年度から、基礎年金に対する国庫負担(税金投入)を、「3分の1」から「2分の1」に引き上げることになっています。このためには、2兆7000億円の予算が必要となり、現政権が事態を先送りしてきた中では、一気に実施することが不可能になっています。
 民主党政権は、平成16年度から徹底して予算のムダづかいにメスを入れ、それによって生み出される財源を段階的に基礎年金に充てることで、5年間で国庫負担率を2分の1に引き上げます。
 また、民主党政権は、将来にわたって持続可能な年金制度として、国民すべてに適用される新たな「二階建」の年金制度を再構築します。
 まず、厚生年金等と国民年金を一元化し、すべての人を対象に、所得に比例した拠出を財源とする「所得比例年金(仮称)」を設けます。所得比例年金では、現役時代の拠出に応じた給付を受けることになります。利権の温床として食い物にされている、運用の実態すら明らかにされていない年金積立金をガラス張りにして、高齢化のピークにあわせて50年程度で取り崩し、保険料の引き上げを抑制します。
 これに加えて、税を財源とする「国民基礎年金(仮称)」を設け、老後の最低限の年金を保障します。国民基礎年金は、所得比例年金の給付額が少ない人に、より厚く支給することとして、すべての人に同レベルの国民年金・基礎年金を支給する現行制度に比べ、相対的に少ない財源ですべての人に最低限の年金を保証できることになります。また、税が財源ですので、国民年金のような無年金者や空洞化という問題も生じません。
 新制度発足後の国民基礎年金の財源は、政権一期目に予算のムダ使いに大きくメスを入れて実現する国民年金国庫負担分1/2の財源に加えて、デフレ経済を克服して安定的な経済成長が回復することを条件に、年金控除の見直しや消費税の一部を年金目的税化することで確保します。
 新制度への切り替えにあたっては、十分な経過期間をとり、また既に年金を受け取っている人への給付水準や、既に保険料を支払った期間に対応する部分の給付水準は維持します。
 国民年金のような無年金者や空洞化という問題は生じません。国民基礎年金の財源については、現行の国民年金国庫負担分の財源に加えて、年金控除の見直しと、政権一期目に予算のムダ使いに大きくメスが入ることと、デフレ経済を克服して安定的な経済成長が回復することを条件に、消費税の一部を年金目的税化することで確保します。
 所得比例年金を導入するには、すべての人の所得を公平かつ正確に把握することが不可欠です。また、所得の捕捉が正確になされなければ、将来の年金財政を正確に把握することもできません。民主党政権では、公平かつ正確な所得の把握を可能にするための税制改革を推進し、これに基づいた具体的数値を示しつつ、年金改革を実行します。
(2)地域介護の拠点として、グループホームを1万カ所増設します。
 待機要介護問題の解消をめざし、平成16年度から年間約850億円の予算を確保し、4年間で、地域の身近な介護拠点―グループホームを1万ヶ所、約10万人分増設するとともに、ヘルパーなど必要な人員を養成します。
 併せて、地域の実情と自治体の創意により、都心における介護付住宅の整備やバリアフリーのまちづくり、高齢者医療の充実などを推進します。
 (この政策には、実際に地域で介護問題に日々取り組んでいる、地方自治体議員さんからの提案が含まれています)

4 一人ひとりの人権が尊重される社会を実現します。
(1)差別の解消をめざす法律を制定します。
 社会にまだまだ残っているさまざまな差別を解消するため、平成17年度末までに、法務省から独立した人権委員会の設置などを盛り込んだ、「人権侵害の救済に関する法」、すべての障害者に「完全参加と平等」を保障し、具体的な差別の禁止を規定する「障害者差別禁止法」、年齢を理由とした就職差別を禁止する「年齢差別禁止法」 など、差別解消のための法律の制定をめざします。
(2)盗聴法、住基ネット法、個人情報保護法を見直します。
 政権獲得後直ちに、盗聴法の運用を凍結し、2年以内に抜本改正の法律案を国会に提出します。また、住民基本台帳法の住基ネット条項と個人情報保護法についても、直ちに見直しに着手し、平成17年度中に抜本改正のための法律案を国会に提出します。
(3)テレビの字幕化を推進します。
 聴覚に障害がある方々もテレビ放送を楽しみ、情報を確保できるようにするため、平成19年までに、技術的に可能なすべてのテレビ番組の字幕化を実現します。字幕化を行う放送事業者や製造業者に対しては、事業支援措置として約100億円の助成を行います。
(4)外国籍の人も希望により住民票に記載します。
 現在、外国籍の人は、日本国籍の人と結婚して一緒に暮らしていても、住民票には名前すら記載されないため、さまざまなトラブルが生じています。そこで、本人が希望した場合には外国籍の人も住民票記載を行うよう、住民基本台帳法を改正します。
(上記二つの政策は、民主党がインターネットを通じて政策を募集した際、聴覚に障害をもつ方、国内に居住する外国籍の方から提案いただいた政策です)

五 国民の命と健康を守る つよい社会を実現します。

 社会全体の安全性が低下し、私たちの身の周りが危険に囲まれています。生命と健康が尊ばれ、国内外でモラルが行き届く社会を再建して、国民の命と健康を守ります。

1 健やかさを保つ生活へと改善します。
(1)早期発見・治療で安心の医療を実現します。診療報酬改定プロセスの透明化をすすめます。
 受診抑制を解消し、早期発見、早期治療を促進するためにも、平成18年の診療報酬改定時点で、健保本人の医療費自己負担は2割に引き戻すとともに、医療制度改革、高齢者医療制度改革を進めます。
 また、診療報酬改訂時には、薬、医療材料、医科点数、歯科点数、訪問看護等についてのデータや価格データの公表を行うとともに、パブリックコメントに付すこととします。また、診療報酬改訂作業を行う中央社会保険医療協議会の委員構成を診療側、支払側、公益側(患者側を含む)それぞれ同数とし、その議事録を公開します。
これらの改革は平成17年度から順次、すすめます。
(2)350カ所の小児救急センターを整備し、小学生卒業までの医療負担を1割に軽減します。
 小児救急医療体制を整備し、政権取得後3年以内に、全国で350カ所以上の小児救急センター病院を指定して、いざという時の受け入れ体制を確立します。
 また、小児医療に関する診療報酬の適正化を図る一方、健康保険における小児医療の患者負担を、3歳未満については2割から1割へ、3歳から小学校卒業年次までは3割から1割負担へと軽減するため、平成17年度までに改正案を国会に提出します。必要な国の予算は約450億円と見込まれます。国費については冗費の振替で行い、健保については財政状況に配慮します。
(3)カルテ開示・医療費明細書発行の義務化を実現します。
 患者と医師の信頼関係と協力をさらに良好なものとするため、患者に対するカルテの開示と医療費明細書の発行を義務付ける法律案を、16年度中に国会に提出します。
(4)「食」の安全を一元的に厳しくチェックします。
 輸入食品検査や食品流通規制、食品表示制度などを一元的に扱い、食品の安全規制を強化するため、平成19年度までに、農水省と厚労省に分かれている「食品リスク管理」業務を内閣府設置の「食品安全委員会」に一本化して、公正取引委員会並みの権限を付与し、消費者代表の委員選任など抜本的な強化をすすめます。予算は平成19年度において約200億円を必要としますが、厚生労働・農水両省の予算を振替ます。
(5)安全を最優先し、原子力行政の監視を強めます。
 原子力に関する行政機関を推進と規制に明確に分離し、安全を最優先させます。原子力の安全規制機関を経済産業省から切り離して、内閣府に独立した行政機関を新たに設置し、強力かつ一元的なチェック体制を築きます。
 平成17年に国会に法案を提出し、18年度よりの施行をめざします。

2 犯罪に厳しく対処し、安全な地域を取り戻します。
(1)警察官の3万人増員により、落ち込んだ検挙率を回復させます。
 5年間で48%に落ち込んだ凶悪犯罪の検挙率を5年前の水準である84%に回復させることを目標とし、4年間で地方警察官を3万人以上増員して、「地域・刑事・生活安全」警察機能の拡充、防犯パトロール体制の強化と「空交番」解消をすすめます。平成16年から4年間、毎年6000〜7000人を増員し、毎年約400億円ずつ、4年後には1600億円の予算を確保します。
 また、市民の声を警察行政に反映させます。平成17年通常国会に警察法改正案を提出し、都道府県公安委員会に、独自の事務局を持った市民・有識者等のオンブズパーソンからなる「苦情処理委員会」の設置をめざします。
(2)仮釈放のない「終身刑」を創設し、凶悪犯罪の罰則を強化します。
 罰則が軽すぎると批判のある凶悪犯罪について罰則を強化し、仮釈放のない「重無期刑」の創設を図るとともに、刑罰全体の見直しをすすめ、政権獲得後3年以内の刑法改正をめざします。
(3)ドメスティック・バイオレンス(DV)防止法を強化します。
 平成16年中に、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(通称:DV防止法)の改正案を国会提出し、保護命令対象を元配偶者・子ども・親族などに広げます。脅迫行為や電話による接触の禁止、退去命令や接近禁止命令の期限延長など、保護命令制度の改善を図るとともに、警察改革による相談体制等の強化をすすめます。
 自立支援体制の強化とともに民間シェルターに対する事業支援を増額することとし、年間約25億円の予算を平成16年度から確保します。

3 国連中心主義で世界の平和を守ります。
(1)自立的な外交と国連機能強化をすすめます。
 受け身の外交姿勢を改め、日本を明確な外交意思をもつ国に変えます。
 日米同盟を本当の意味で進化させるために、「協力すべきは行う、言うべきは言う」ことを対米関係の基本姿勢とし、日米関係を成熟した同盟に強化します。
 アジア地域における相互協力と信頼醸成をすすめ、FTA(自由貿易協定)の締結促進など経済協調の推進、地域的安全保障、そして環境や教育、犯罪対策などを含めて、アジアの一員としての連携と協力を強化します。
 国連の人道支援、環境対策、教育や人権、紛争予防活動などに対して積極的な貢献をすすめながら、国連改革に積極的に取り組み、国内世論と加盟国の支持を前提に日本の安保理常任理事国入りをめざします。
 国民の間にも理解と支持が定着しているPKOに関しては、発展するPKOの要請に応ずべく、派遣される隊員の武器使用基準の見直し、参加条件・規模・期間等に関する国会の関与のあり方等について積極的に検討を進め、日本として、国際平和の維持・構築に正面から関与できるようにします。
(2)拉致事件の解決など北朝鮮問題に正面から取り組みます。
 拉致事件の解決は、日本の主権、人道上の見地から早急な解決が重要です。被害者家族のすみやかな帰国、事件の全容解明を北朝鮮に強く迫るとともに、国連をはじめ国際世論に広く働きかけます。また、脱北者問題に積極的に取り組むとともに、不審船等による覚醒剤事件の取締りなど海上警備体制の強化を図ります。
 核・大量破壊兵器の問題は、地域の安全にとって重大であり、6者協議の国際的取り組みを評価し、将来この地域での信頼醸成機構に発展させることを展望するとともに、さらに国連を加えた取り組みを充実させます。
(3)改めてイラクへの復興支援のあり方を見直します。
 米国等のイラクへの武力行使は、国連憲章など国際法に違反するものであり、容認できません。戦闘が続くイラクへの自衛隊派遣を規定しているイラク特措法については、戦闘地域と非戦闘地域との区別もつかないこと、実質的に米英軍による戦闘・占領行為を後方支援することになることなどの観点から、これに基づく自衛隊の派遣は行わず、廃止を含め見直しを図ります。
 しかし、政権崩壊に至った現状の下、被災したイラク国民に対して、医療・教育・経済分野等の人道・復興支援については、積極的に取り組みます。速やかにイラクに主権を委譲していこうという国連等の取り組みを支援し、復興支援を目的とする国際的な取り組みに対しても、その拠出先・使途・運用などに照らした適切な財政支援を含め、積極的に関与します。
 イラク国民による政府が樹立され、その要請に基づき安保理決議がされた場合には、わが国の主体的判断にもとづいて憲法の範囲内でPKO、PKFの派遣基準を緩和し、自衛隊の活用も含めた支援に取り組みます。
(4)犯罪対策の強化など「日米地位協定」の改定に着手します。
 わが国の外交安全保障の基軸である日米同盟を健全に運営するため、凶悪犯罪容疑者について起訴前に日本の司法当局に引渡しを認める原則や、米軍施設への日本法令の適用原則、環境保全条項などを盛り込むことをめざし、日米地位協定の改定に着手し、3年を目途に結論を出すことを目標にします。なお、協定改定の交渉中も、アジア情勢等を踏まえつつ、在日米軍基地の整理・縮小を追求します。
(5)大使等の民間登用率を2割に向上させます。
 「日本の顔」として柔軟かつ効果的な外交を展開するため、大使等(特命全権公使を含む)の任用を、学者、NGO関係者、首長や政治家経験者などに広げ、日本人の顔の見える活力ある外交を推進します。大使等の民間人登用を、現在の6%から当面20%を目標とし、政権獲得後の4年間で達成します。
(6)地球環境保全に向けた基本法を制定し、環境外交を展開します。
 人類と自然との共生の理念にもとづいて、日本が世界に貢献する戦略的外交課題として、地球環境保全活動をすすめます。平成17年度末までに、「地球全体の環境保全」という理念を明確にし、地球環境保全に向けた基本法案を国会提出し、その成立をめざします。
(7)国民を守ることができる防衛力整備への転換を図ります。
 平成17年中に新しい防衛構想を策定して、ミサイルの脅威やテロなど多様な危機に柔軟に対応できるようにします。
 新しい防衛構想では、(i)陸上自衛隊の削減、(ii)テロなどに対処する特殊部隊導入強化、(iii)予備自衛官の拡充、(iv)機甲師団の廃止、戦車、火砲の20%縮減、(v)陸海空3自衛隊の統合運用強化、(vi)軍事技術のハイテク化・IT化、(vii)ミサイル防衛力の向上―などを5年以内に実現することをめざします。
 また、弾道ミサイル防衛については、その必要性を踏まえ、費用対効果など総合的観点から検討を進めます。
 これらに必要な予算は約5000億円となりますが、従来の防衛予算の中での振替で対応します。